就労継続支援事務所にはA型とB型があり、それぞれが抱えている課題があります。ここでは、就労継続支援事務所A型とB型それぞれが問題視している課題について解説します。
就労継続支援事業を行っているA型事務所は、障がいをもつ人の労働者性と労働の可能性を高めていくことが求められている事業です。利用者と雇用契約を締結して、労働法規の適用を受けながら、福祉と労働に関するサービスを提供します。
A型事務所が抱える課題として挙げられるのが、事業を継続する難しさです。全体の約半数の事務所は、経常収支差額が赤字となっています。労働者に対して、最低賃金を支払えるほど収益が出せるような生産活動が行われていないのが実態です。
また、A型事務所では、給付金を当てにした設立が増えており、近年数年で急増しました。その中で、運営が順調な事務所もあれば、ビジネスモデルとしてうまくいっていない事務所も多く存在します。なかには、運営能力が低くB型事務所への移行を余儀なくされたA型事務所もあります。同時に、A型事務所の閉鎖が全国で相次ぎ、解雇される障がい者の方の増加が問題視されています。解雇された障がい者の方は、定期的な収入が経たれることで、生活に多大な影響を受けてしまうのです。
就労継続支援B型は、雇用契約に基づく就労が困難な障がい者の方を対象としています。そのため、雇用契約を結ばずに働けるのが特徴です。年齢制限がなく、65歳以上の高齢者の方もB型事務所を利用できます。
B型事務所が抱える課題は、大きく分けて3つ挙げられます。
利用者の多用なニーズに合わせたり、工賃を向上させたりすることで職員の業務にも負荷がかかっているのが実情となっています。
昨今の新型コロナウィルス感染症の影響は、就労継続支援事務所にも及んでいます。感染拡大対策として、通所を控えた在宅支援を始めている支援事務所もあります。通所時と同等の質を保ちながらの支援は困難であり、通所者を増やしていく活動も厳しさを増しています。
新型コロナウィルス感染症の影響から、企業の業績が悪化していくと、健常者の新卒や中途採用の数が激減していきます。すると、障がい者の方の就労の数も減っていくことになるでしょう。今後は、就労数の削減や、契約満了のタイミングで人員削減につながっていくことも視野に入れなくてはなりません。
また、近年の障がい者支援事業所は、社会福祉法人やNPO以外にも株式会社が参入し、爆発的に増えています。